先日、車を運転していると、ラジオでこんなことを言っていました。薬の飲み方の中で「食間」の意味は、食事の間に薬を飲むこと、つまり、食べながら薬を飲むことだとずっと思っていたというのです。私は、この話を聞いて、以前、坐薬(肛門から入れる薬)を正座して飲んだ方がいらしたのを思い出し、思わず笑ってしまいました。ずっとそのような使い方で、よく胃に穴があかなかったと思った程です。(まったく、笑い事ではないのですが・・・)その方は、坐薬を飲んでいた間はちっともよくならなかったのですが、その後、坐薬を正しく使い始めてからは急速に病状が改善しました。

 ということで、今回は飲み薬を飲むときの一般的な注意について書いてみました。

1.薬はコップ1杯の水で飲みましょう。
薬を飲む時にひと口かふた口の水で飲む方が多いと思いますが、薬はコップ1杯位のたっぷりの水で飲みましょう。まれに、水を飲まずに薬だけを口に放り込んで飲んでしまう方がいらっしゃいますが、これは食道や胃を荒らす原因になりますので、特に指示のない限りやめましょう。
2.薬はありのままの姿で・・・。
薬には、散薬、錠剤、カプセル剤などさまざまな形状のものがあり、それぞれ薬の効果がもっとも発揮されるように造られています。たとえば、1日2回服用する錠剤(徐放錠)などは、1回内服すると12時間効果が持続するように工夫されています。そのため、特別な指示がない限り、通常、錠剤は錠剤のままで、カプセルはカプセルのままで服用します。飲みにくいからと言って、薬を砕いたり、カプセルを取り外して服用しないようにして下さい。薬の効果が充分得られないことがあります。どうしても飲みにくいなどの理由でお困りのことがありましたら、医師に相談しましょう。
3.薬は指示された時間に飲みましょう。
薬は、一般的に空腹時のほうが吸収がよいのですが、胃に負担がかかってしまうため、たいていの薬は食後に服用するように指示されます。また、食後に服用することで飲み忘れ防止にも役立つので、便宜上そうしている場合もあります。ともあれ、服用時間を間違えると薬の効果が半減してしまうことにもなりかねませんので、薬は指示された通りに飲みましょう。

以下に、一般的な服用時間をあげました。

@「食前」もしくは「食前30分」
食事前およそ30分前までを目安にして服用します。

A「食後」もしくは「食後30分」
事後およそ30分までを目安にして服用します。

B「食間」
食事と食事の間に服用します。例えば、朝食を8時に摂り、昼食が12時の予定であれば、10時頃が服用の時間となります。ちなみに、朝食6時、昼食12時、夕食19時の「毎食間」は、9時頃、15〜16時頃、21〜22時頃(就寝時間にもよりますが)に内服するのがよいでしょう。

C「食後2時間」
食事後およそ2時間を目安に服用します。「食間」とほぼ同様と考えてよいようです。

D「時間ごと」
血液中での薬の濃度を一定に保つために、食事に関係なく一定時間毎に服用します。身近なところでは、抗生物質が「8時間毎」、「6時間毎」等と指示されます。例えば、「8時間毎」の場合は、6時、14時、22時というように、自分の生活サイクルにあわせて服用することができます。

E 「就寝前」
就寝前およそ30分までを目安に服用します。

4.薬を飲み忘れた時はどうする?
飲み忘れた場合は、気づいた時点で服用してよい場合と、次回まで待ったほうがよい場合があります。薬の種類や体調によって異なりますが、処方した医師か薬剤師等に確認するのが一番です。決して2回分をいっぺんに内服するようなことはやめましょう。特殊な薬でなければ、下記を参考にして服用することを推奨している専門家もいます。

@1日1回服用が指示されている場合
次の服用時間まで少なくとも8時間程度間隔をあけて服用しましょう。

A1日2回服用が指示されている場合
次の服用時間まで少なくとも6時間程度間隔をあけて服用しましょう。

B1日3〜4回服用が指示されている場合
次の服用時間まで少なくとも3時間程度間隔をあけて服用しましょう。

5.食事をしなかった時はどうする?
「食後」というと、たまたま食事をしないと薬まで抜かす方もいらっしゃいますが、通常は、食事を抜かした時も内服予定時間がきたら内服します。また、検査のため「朝は何も食べないように」と指示された場合でも、服用したほうがよい薬もありますので、日ごろから薬を飲んでいらっしゃる方は、医師に相談しておきましょう。
6.自分の使用する薬をもっとよく知りましょう。
自分が使用する薬について、名前、効果、副作用、使用にあたって気をつけることを知っておくことは、健康管理上とても大切なことです。最近は、医薬分業が進み、病院で薬をもらうことが少なくなりました。病院でもらった処方せんを取り扱っている薬局では、その都度「お薬手帳」に薬名、量などを記入し、処方された薬について説明してくれます。また、「お薬手帳」を見れば一目で薬歴がわかるため、複数の病院にかかっている方は受診時に医師に見せるとよいでしょう。

最後に、どこかのCMでもやっていましたが、薬を使用するときは、
「用法・用量をきちんと守ってくださいね。」
おだいじに