一人暮らしの医・食・住について
春は、卒業、入学、就職、転職、人事異動などで人が動くシーズン。 これを機会に、親元を離れて自由な一人暮らしを、また、しかたなく一人暮らしを始めざるを得ない人など、さまざまなケースで一人暮らしを始める人が多い時期です。 そこで今回は、一人暮らしの医・食・住について、考えてみましょう。
<医>
一人暮らしを始めて、一番不安な思いをするのが病気やケガの時でしょう。 真夜中になって、突然お腹や頭が痛くなり、周囲の環境や病院もわからないまま心細い一夜を過ごす人も多いと思います。

そこで、イザという時、慌てないために日頃からどんな準備が必要でしょうか
  • (1) かかりつけの医師・医院を決めておきましょう
    最優先にしておきたいのが、ホームドクターを探しておくこと。 風邪ぎみの時や体調不良、日本脳炎やインフルエンザなどの予防接種の機会をとらえて、近所のクリニックに行って、様子をみましょう。 よく話しを聞いてくれ、詳しく説明をしてくれる何でも相談できそうな、いつでも連絡できる、そんなかかりつけの医師を確保していれば、とても心強いものです。 ホームドクターに一人暮らしを始めた事、いままでに罹った病気の事、持病、体の心配事など話して、急に具合が悪くなったときに相談に乗ってもらえるようお願いしておけばさらに安心です。 病気によって、一概にはいえませんが、いきなり後頭部を殴られたような激しい痛みの時、頭痛の痛みはそれほどでないけれど、手足にしびれを感じ言葉のろれつが回らない時、 また、胸の痛みが続き呼吸が苦しく吐き気がある時は、夜間であれ、ちゅうちょせずに病院に行きましょう。 休日や夜間に救急に応じてくれる病院や医院のリストを常時目につくところに貼っておきましょう。 また、タクシー会社や親しい友人の電話もメモしておきましょう。
    別表に救急診療に応じてくれる医療機関を、サイト・連絡先と合わせて載せてありますので印刷して部屋の壁にでも貼っておくと良いでしょう。
  • (2)救急箱を備えておきましょう
    救急箱があると安心です。最低限そろえておきたいのが、風邪薬、解熱鎮痛剤、胃腸薬、下痢止め、湿布、軟膏(痒み止め、虫刺され)ケガの時の包帯、ガーゼ、バンドエイド、テープや、棘抜き、爪切り、体温計などです。 忘れてしまいそうなのが有効期限、時々点検をして補充してください。
  • (3)年に1回は、必ず健康診断を受診しましょう 春は、健康診断の季節です。健康診断を受けると、普段の自分の健康状態を知ることができます。 病気の早期発見や、生活習慣病のチェックもできます。 一人暮らしをはじめたからこそ、自分の健康は、自分で守るために4月から始まる定期健康診断を受けましょう。
(別表)救急の時の便利なサイト、連絡先
名称 サイト・連絡先 備考
千葉市夜間救急初期診療部
市立海浜病院内1階
Tel:043(279)3131 <平日>19:00〜6:00
<休日>18:00〜6:00
夜間開院機関案内 Tel:043(244)5353 <月〜土>17:30〜19:30
千葉市救急診療所
総合保健医療センター1階
Tel:043(238)9911 <休日>9:00〜12:00
13:00〜17:00
iタウンページ http://itp.ne.jp/ サイト内の医療・健康・介護のジャンルで全国の休日、夜間の診療を行う病院、診療所がわかる
おくすりナビ http://www.okusurinavi.com/ 市販薬の成分・注意点
その他薬の飲み合わせなどについて
セルフドクターネット http://www.selfdoctor.net/ 「ファミリーナースの心得」 で救急処置の基礎知識などがわかる
<食>
一人暮らしを始めて最初に直面するのが食事のこと。親元に居たときは、食事時刻となれば、おいしい料理が並んでいたことなどは、もう夢みたいな話。 自分で食べる物は、自分で用意しなければなりません。車がガソリンで走るように、私達の体は、食べることによって維持されているのです。 しかも、バランス良く色々な栄養素の入った食物を摂取しないと、身体の筋肉や、内臓などが効率よく働いてくれず、一寸したことで疲れやすく我慢がききません。 また、成長にも悪い影響が及びます。

若い時の食生活が将来に渡っての健康の鍵を握っているといっても過言ではありません。一人暮らしの食生活、考えたい事です。

(1)知っておきたい基礎食品群
 食品は大きく6つの食品群に分類されます。また栄養素のバランスを考えると1日、30品目の食品を料理の素材することがベストと言えます。 朝、昼、夕の食事のなかで偏りなく基礎食品群を摂ることが大切です。 1日で取れなければ3日間くらいで出来るだけ多くの食品群を摂るように心がけましょう。
(6つの食品群)
食品群 名称 食品名 備考
第1群 たんぱく質 魚、肉、卵、大豆製品、味噌、豆腐 主に血や肉を作る身体の構成成分。成長や生理機能を維持する必須アミノ酸を含む
第2群 カルシウム 牛乳、チーズ、ヨーグルト等の乳製品、海草、小魚 骨や歯を作る。日本人に不足がち。毎日牛乳1本(200cc)、小魚、のりなどを食卓に
第3群 カロチン 人参、かほちゃ、ほうれん草、ピーマン、トマト、にらなどの緑黄色野菜 皮膚や粘膜を強める。身体の中でビタミンAにかわる
第4群 ビタミンC
ミネラル
大根、玉ねぎ、キャベツ、キュウリ、白菜、もやしなどの淡色野菜、果物 ビタミンCは骨や血管を作るコラーゲンの合成を促進、体の抵抗力をつける。ミネラルは体の働きをスムーズにする。
第5群 炭水化物 米、麦等の穀類、パン、ラーメン、そばうどん、パスタ、さつまいも、じゃがいも 体を動かすエネルギー源。蛋白質の摂取量を調節する働きもある。
第6群 脂肪 バター、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、サラダ油 体を動かす最も高いエネルギー源。動物性脂肪(肉):植物性脂肪:魚脂肪の割合は3:4:3で。とり過ぎに注意
(2)食事のとり方
 食習慣は、それぞれのライフスタイルによって異なります。夜型の朝食抜きの人も多いなか、ましてや一人暮らしとなると、その傾向に拍車がかかるかもしれません。

食事のとり方として
(1)1日3食を規則正しくがモットーです。
食事を抜いたりすると、体調が崩れやすくなり、やる気がない、だるい、無気力、いらいらする、貧血気味になるなど、不安材料が多くなります。 また、長時間食事を取らない食べ方をすると、逆に、消化吸収が高まり、太りやすい状態に陥る可能性もあります。 特に朝食は1日の元気の源。絶対に食べるようにしましょう。パンに牛乳やヨーグルト、果物などがあれば立派な朝食です。

(2)栄養バランスの良い、定食メニュー型の食事をとるように心がける。
栄養のバランスを保つためには、主食(ご飯、パン、麺類)、主菜(肉、魚など蛋白質の多い食品)、副菜(野菜を中心にしたおかず)、 汁物(みそ汁、スープ)などの定食メニュー型の料理の組み合わせが良いと言われています。自然に無理なく、バランスのいい栄養素をとりいれることができるからです。

(3)色々な食品を組み合わせて食べる
一人暮らしをしていると、誰も干渉する人が居ないので、ついつい好きで手間のかからない同じ食物を食べ続けることがおきかねません。 同じ物ばかり食べているとそれこそ、身体のバランスが崩れます。 メニューを選ぶとき信号機(シグナル)の赤、黄、緑の色を思いうかべて、今日まだ取っていない色の食物を選択すれば、食品の品目も増えます。
工夫しながら食生活を充実させていきましょう
(1)外食する場合、なるべく品数の多い定食メニュー型を基本として選び、単品料理を選ぶ時は具沢山の物を注文するようにします。

(2)保存食を便利に活用
主食として、米、パスタ、ラーメン、うどんなど、他に缶詰、レトルト食品、卵などを常備し、調味料は最小単位の物が良いです。
一人暮らし中、風邪で発熱して寝込んだ時などは脱水症状になりやすいので、エネルギーがすぐに取れ、消化がよく水分の多いレトルトパックの白粥があると重宝です。また、免疫力や体の働きを高めるミネラル、たんぱく質の補給のため魚の缶詰や、納豆、しらす、栄養価の高いスキムミルク、冷凍の野菜、果物も用意して置きたいものです。
パック入りの保存のきく野菜ジュースやスポーツドリンクも必需品です。

(3) 簡単レシピ
名称 材料 作り方
ツナの炊き込みご飯 米2カップ、ツナ小1缶、人参1/4本、油あげ1/2枚、しいたけ3枚、醤油、塩、調理酒適量
(残った野菜は具沢山の味噌汁に)
1.米は洗っておく
2.炊飯器に洗った米に水2カップをそそいで調味料を入れる
3.千切りした人参、油揚げ、しいたけとツナ缶汁ごと2にいれて軽くまぜる。
4.炊飯器で炊く。
(残ったらおにぎりにして冷凍しておくとよい)
トマトと鶏肉のチーズ焼き トマト1個、鶏胸肉(皮は取る)、塩コショウ、小麦粉、サラダ油適量、ミックスチーズ 1.鶏肉は斜めに4等分にそぎ切り塩コショウを少々ふり小麦粉をまぶす
2.フライパンにサラダ油大匙1を熱して1を中火で両面きつね色に焼く
3.オープントースターの天板にアルミカップをのせ、その中に2の鶏肉、輪切りのトマト、ミックスチーズを順に重ねて7〜8分焼く
豚しゃぶサラダ 豚肉1パック、レタス、キュウリ、人参、玉ねぎ、ごまドレッシング 1.豚肉は食べ易い大きさに切り熱湯で色が変わるまで湯がいて水切りする。
2.野菜は食べ易く切る。玉ねぎは薄くスライスして水にさらした後、水をきる。
3.皿に野菜を敷き上に湯がいた豚肉をのせる。ごまドレッシングをたっぷりかけていただく
ミルクセーキ 牛乳1本、バナナ1本、卵1個、はちみつ小さじ1 材料をミキサーにかけるだけで出来る
(4)家庭で食べていたおいしいメニューは、こまめに家族と連絡をとり教えてもらいましょう。
<住>
はじめて一人暮らしを始めるのにあたって、どのような点が重要でしょうか。

予算、立地、間取り、入居時期はもちろんですが、安全性の面にも考慮して部屋探しすることが必要です。

部屋の候補を大体絞ったら実際に日中と夜間、曜日を変えて駅から歩いてみましょう。大きな公園や駐車場、廃屋、資材置き場などは犯罪の温床になり易いといわれています。部屋の中も日中と夜間で変わってくるため、両方下見することをおすすめします。できれば、雨の日も下見できるとなお良いでしょう。

いろいろと条件のある中、希望が100%かなえられることは難しいと思います。ですから絶対に譲れない条件を先に条件として決めておきましょう。フローリングなどのインテリアや間取りなどはある程度工夫によって自分なりの空間をつくりだすことができます。後から変えられない環境や立地などの項目を精査することが大切です。2階以上の部屋であっても簡単によじ登れる足場はないか、両隣にはどのような人が住んでいるのかなど。部屋選びは大学生活、職場生活を安全に、そして快適に過ごすためにとても重要ですから、焦らずじっくり選びたいものです。

部屋が決まったら日々の防犯意識もしっかりしたいものです。表札を女性名にしない、郵便受けに鍵をつける、人が訪ねてきても安易にドアを開けない、大家さんに相談して防犯性の高い鍵に替えるなど。せっかくの理想の暮らしのチャンスなのですから、安全・快適にすごす準備と一人で暮らすと言う心構えが大切です。
部屋室内
  • 電気容量は足りているか
  • 電話とテレビ端子の位置は
  • コンロはどうなっているか
  • バス・トイレ・収納にカビやにおいはないか
  • 携帯電話の電波は入るか
  • 防音は大丈夫か
  • エアコン設置問題ないか
室内の安全性
  • 鍵はピッキング対策など問題ないか
  • ドアスコープは問題ないか
  • 玄関から室内が見えすぎないか
  • ベランダは外から侵入されないか
  • 外から覗かれないか
  • 建物の周囲は散らかってないか
周辺
  • 駅から歩いた場合安全か
  • 自分で歩いたときの駅からの所要時間は
  • 騒音は問題ないか(昼と夜)
  • 自転車置き場はあるか
  • ゴミ置き場はどこか
  • スーパーやコンビニは近くにあるか
  • 日常品を買う場所の営業時間と価格