健康と飲酒
酒の歴史は古く、紀元前7000年頃の遺跡から出土した陶器片に 醸造酒の成分が検出されたという報告があります。従って、お酒は1万年近く人間とともに歩んできた歴史があり、昔から「酒は百薬の長」と言われているゆえんです。
適正な飲酒量を守っていれば、飲酒なしの人に比べ寿命が延びるとも言われています。適正な1日の飲酒量というのは、男性はビールなら500ml、日本酒なら1合、焼酎なら0.5合くらい、女性は男性の半分量です。これを超えて2倍量飲み続けると生活習慣病のリスクが高くなります。飲酒はカロリー過多の原因にもなり、アルコールの種類にもよりますが適正量でも御飯軽く一杯分に相当します。3倍量以上を飲み続けるとアルコールに関連した健康問題や飲酒運転を含めた社会問題を引き起こす危険が高まると言われており、平成21年の調査では成人男性の4.8%、女性0.4%が該当すると推計されています。
多量飲酒は肝臓に脂肪肝を生じ、最終的には肝硬変に至り肝臓の癌を含め種々の合併症で命取りになります。ちょっと飲みすぎたな、と思ったら休肝日を作りましょう。また、多量飲酒は肝臓のみならず膵臓、咽頭、食道、胃腸等の消化器疾患、心臓などの循環器疾患、アルコール依存症など、多くの臓器の病気の原因となるので注意が必要です。
アルコールは主に肝臓で代謝されますが、その酵素活性には個人差があり日本人の40%は飲めない体質で、5%は全く飲めない体質です。飲めない人が無理して飲むと頭痛や動悸、吐き気などすぐに気分が悪くなり、飲める人も無理に飲むと健康被害を生じます。その最たるものが、「一気飲み」です。アルコール血中濃度が急激に上昇し、酩酊〜泥酔〜昏睡状態となります。意識がないと嘔吐した物が気管に詰まっても自分で出すことができず、窒息死してしまいます。学生の一気飲みによる死亡記事が、毎年必ずと言っていいほど新聞報道されているのは残念でなりません。前途洋々たる学生が「一気飲み」で死んでしまっては、親は泣くに泣けません。楽しく酒を飲んで友好を深めるのはとても良いことですが、飲酒の強要は犯罪にも等しい行為でありお互いに気をつけましょう。
「酒は百薬の長、されど万病の元」です。適正飲酒は健康に利するが、飲みすぎは多くの病気の原因になることを知っていただき、「酒はおいしく飲んで、長く飲んで」、行きましょう。
2013.3.4